2020年2月22日土曜日、朝から雨、午後からは春の嵐という予報もあったので、
タクシー配車アプリDiDiでタクシーを呼びました。
服装の特徴もアプリ内のメッセージで伝えていたのですが、なぜか僕を素通りして50mほど通り過ぎて停車。
停車予定場所はマンションの軒先、濡れずに乗れると思っていたのに、
バックしてくれる様子もないので仕方なく歩いてタクシーへ近づきました。
これまで何度も配車アプリを使っていますが、大抵名前の確認から入ります。
しかし、この運転手さん開口一番
「もしかしてアプリで呼ばれましたか?」と。
そうですよと、名前も伝えると
「あ、ほんまや名前出てますわ!すんません、実はアプリで取ったん初めてですねん、すんません」
と白髪の愛想の良い60代後半と思われる運転手さんでした。
訊いたら、これまでに何度も DiDiの配車を失敗し、
会社から「あと3日でダメならクビや言われてましてん(笑)」と。
えぇ、そんなことあるの?と思って話をしていると、タブレットの操作もたどたどしく。
「あ、急いでないので止まってもらって大丈夫ですよ」と、
運転席と助手席の間から身を乗り出し、運転手さんと実車までの操作を一緒に行いました。
合わせて僕のスマホの画面も見せて DiDiの仕組みというか、流れを説明して出発。
何度も使ってて、運転手さんの操作も見ていましたし、
タブレットの操作はかなり簡素化されているので、
「ここ押してこうして、そのタブレットがナビにもなりますので目的地ついたら、また説明しますね」とお伝えして。
道すがら、運転手さん。
「みんなこれで売上、上げてますねん。わし無理やわ…3日後、機械返せと言われてて…」 と。
最初は冗談かなと思ってたけど、結構切実な様子。
目的地到着後、
「また、こうして、それで僕のアプリで音がしたら支払できてますので」と伝えると、少しトーンの上がった声で
「いやぁ、ほんまもう着いて行かれへんから、辞めようか思てたんですよ。
初めて取れたのが優しいお客さんでよかった。これでもっかいやってみようと思えました。
会社にも、も少しやらせてといいますわ」
と言われて、とても感激しました。
僕たちには当たり前のことかもしれないアプリ操作。
普段からスマホを触り、いわゆるITとかWEBの界隈で暮らしている者にとってはなんてないこと。
でも、こういったシニアの方には次々登場するサービスやデバイスに着いていくのは本当に大変だろうなと感じました。
逆に食わず嫌いをせずに、果敢にチャレンジすれば道も拓けるものだとも感じました。
支払いを押し、「paypay!」となる画面までを、車載のタブレットと僕のスマホを並べて一緒に操作。
「 操作はこれでいけてるはずなので、頑張って下さいね。
今日は雨だし、午後から春の嵐のようなので、タクシー使う人多いと思います。
アプリでお客さん乗せまくって、会社見返してくださいね」
と伝えると、
「今日のアプリの売上見せて、見返しますわ!」と笑顔で応えてくれました。
たくさんのお客さんが、あの運転手さんのタクシーを使いますように。
そしてまたこういう運転手さんに出会ったら、できることを伝えられたらと思いました。
そんな雨の朝の出来事でした。