これから「売れるもの」「売れなくなるもの」新しい生活様式で変わる【お買い物】

先日のGoogleアップデートで多くのコンテンツが被弾。

マスクの価格が下落というか適正価格になりつつあり供給不足が解消される特需商品は減退傾向に。
一時は1箱何万円でも取引されていたものが、1箱2,500円、1枚あたり50円ぐらいで販売されているマスクは商店街、露店でもダブつきが見えはじめています。

2月頃まで、DAISOでは30個110円でしたから、1枚3円です。
抽選倍率が100倍以上とも言われたシャープのマスクは50枚で3,278円なので1枚約66円。
それでも、医療衛生品メーカーではないものの、名のある国内メーカーのマスクに応募が殺到しました。
一方で出どころが怪しいマスク、外箱に変な日本語が書かれたマスクは敬遠されるようになってきており、安全性や品質が担保されている商材には消費者も購入を惜しまないような動きが出てきているように感じます。

これまで安価な製造原価で、世界の工場の異名を取った国を原産国とする商品への警戒感、不信感などは多少なりと出てくるのではないでしょうか?

新型コロナの影響による、破産・倒産、失業が相次ぐことが予想される不況のような動きの中で、商品製造は国内回帰の動きも出始め、雇用が充足するまでの間にはスタグフレーションのような状況は起こりうるのではないでしょうか。
そしてその後、インフレに移行して新しい経済体系に5年ぐらいかけて姿を変えていく。そんな気がしています。

「新しい生活様式」「新しい買い物」

GWが明けて「新しい生活様式」という言葉も散見されるようになりました。

「春財布」という言葉があり、 春=張る(お財布が張る) というゲン担ぎと、新年度・進級・入学・就職祝いで春には財布がよく売れます。
かつてアルバイトしていた百貨店では、財布売り場の年間売上の70%が3月4月で成り立っていると聞いたことがありますが、緊急事態宣言発出を受け、休業している中、この売上のほぼほぼを消失したことになります。

百貨店デパートで、財布の他で春に強い商品といえば、コスメですが、昨対で口紅が約73%近く売上減少する中、マスカラは約30%減にとどまるなどコスメでも差が出てきています。

ファンデーション・口紅が苦戦、マスカラやアイシャドウは踏みとどまっている様子から、他の商材でも連想ゲームのように「なぜこれが売れて、これは売れなくなるのか」を考えていくといいですね。

季節性のない商材でも、検索数をみるとはっきり動きが出ています。

「店頭で手に取ってしか買えないもの」と「ECでも買えるもの」の差はどんどん拡がっていくでしょう。

これから「売れるもの」「売れないもの」 を見定める。

アフターコロナ「新しい生活様式」でお買い物は変わる。ECも変わる。

上図の3つのグラフは異なるジャンルの商材の検索数の推移です。元来あまり季節的な動きのないもの、旬のある商材・サービスではありませんでした。

でした、というのは、中段のグラフが顕著ですね。昨年の春には山がなく、今年の春だけに山ができているので、季節商材ではなく、コロナによる特需商品であることがわかります。そして駆け上がり方と下がり方をみているとわかりやすいですが、既に下り坂になっています。

これまでも大規模災害の後に大量に海外から災害用品を仕入れ、売価を釣り上げて販売していた業者が、供給が十分に行き渡った後に不良在庫を捌けずに破綻するといったことも見てきました。

特需商品を瞬発的に察知し、高価で売りぬくというのも経営的にはありだと思います。デイトレーダーのようにそういった嗅覚に長けた方であれば、これまでも「食べるラー油」→「パンケーキ」→「塩麹」→「ハンドスピーナー」→「タピオカ」→「マスク」と八艘飛びで切る抜けることもできたかもしれません。今後もそういったコトは起こりうるでしょう。

ですが、僕がお手伝いしている事業者さんは、自社の商品に信念と愛を持っている方ばかりなので、トレンドワードを自社商品に上手く絡めることはあっても、ドレスの横で不織布マスクを販売するといったようなことはされてきませんでしたし、僕もそういったことはご提案できません。

何よりタピオミルクティーも飲んだことがないぐらい、ブームには疎い方なので、カメレオン戦法で商品を変えながら売りぬくのは必ず大怪我をすると思っているからです。

ですので、雑誌でよくあるトレンド予測などはできませんし、ブームを作ることもできません。
ただ、お手伝いしているところの多くはECサイトですから、検索回数などのデータの変遷をみながら、取り入れるべきかどうかの判断はできます。

たとえば2016年の秋にトレンドカラーとして流行った「テラコッタ」の3年分の検索数の推移です。
テラコッタ とはイタリア語の「焼いた土 」に由来する言葉で 陶器や建築用素材などに使われる素焼きの焼き物。つまり赤茶けた茶色「レンガ色」です。

大流行した2016年の秋に大きな山があり、2017年、2018年の秋にはさほど山ができていません。2019年には山がありますが、2016年に仕入れたテラコッタカラーの商材が、その秋冬で完売できなかった場合、2017年に前年比で仕入れを起こした場合の状況は想像に難くないですよね。

2019年からじわじわと人気が高まってきている鬼滅の刃は2020年の秋冬に席巻することは間違いなく、冬の歳末商戦、クリスマス商戦にも鬼滅の刃のグッズがネット通販のランキングに大きく関わることは予想に難くないところですね。

今、大切なのは、その商品が「瞬発的に売りぬく商材」なのか「売れ続けるもの」なのか、あるいは「今は売れない」のか「もう売れなくなるもの」なのかをしっかり「看視」していくことが大切です。

消費者の動向・ニーズに合わせたコンテンツで集客をはかり、そして仕入れや商品開発、品揃えも変化させていくことを意識するといいですね。

「衣食住+α」
その商品の主たる属性はどこに位置するのか?その商材は目的商材なのか消費商材なのか?ブームか定番か?

新型コロナに対するワクチンや治療薬が確立され、その恐怖感がインフルエンザやノロなど、これまでの日常に隣り合わせのような存在になったとしても、それは「アフターコロナ」でありながらも微妙に変化をもたらしているでしょう。

これだけ概念が揺れ動かされ、生活様式が一変した中で、 もはや「元に戻る」ということはあり得ないと考えて動くべきです。
2020年を境にお買い物や消費行動、外食産業などは本当に劇的に変化していくでしょう。
それが後に進化と呼べるものかも今はわかりません。

僕が今、伴走している事業者さんに提供できることは、その過程で変化していくインターネット上の動き方、検索の仕方、キーワードの変遷です。
それを見ていくと、売れていくもの、売れなくなってきたものがわかります。

緊急事態宣言の中、在宅時間が長くなりネット上のトラフィックは増えて取得できるデータも膨大になりましたが、それが一過性のものか生活に溶け込んで来たものか、情報を濾過することも忘れてはいけません。

自社ECサイト、コーポレートサイト、キュレーションメディア、オウンドメディア、アクセス解析ができるサイトをお持ちの方は、しっかりGoogle AnalyticsとSearch Consoleのデータを看ていてください。

GWの狭間、何社かのお手伝い先と今後数ヶ月の販売戦略の打ち合わせを行いました。
今すぐやりたいことと数カ月先に向けてやっておくべきことは異なります。

A社さんでは、社内のリソース、ページ制作スピードを鑑み、直近ではなく8月あたりを見据えて動くシフトを組みました。
すぐにこれをすれば5月~6月頭までは売上を狙えるのですが、そこに割けるリソースと制作スピードを考えると、販売期間を逸する可能性がありました。
現状の売上は好調なので、目先の売上を嵩増しさせるよりも、毎年売上が低減する真夏の対策を進め、凹みを無くす方を選びました。

B社さんでは、直近の売上は厳しいのですが、付け焼刃的な施策は打たず、確実に繁忙期に山を作れる動きを選びました。
5~6月の売上は大変厳しいのですが、補助金や給付金対象になることを踏まえ、暫くはそれで乗り切り、次の繁忙期で一気に回収できるための中期的なコンテンツ作りへ注力しています。

C社さんは、コロナ特需に沸いて業績は好調なのですが、ここを深追いせず、新しい販路開拓のためにじっくり調査検討を重ねているところです。

自社サイトのアクセス解析を行い、自分たちが行くべき針路を定めれば、必要以上に不安になることはなくてもいいのではないか、それは自分に向けてでもありますが、そんな話をしています。

WEB、ECとインターネット上で行うことが増えた今ですが、最後は人と人。
自分たちのお客さんが何を求めているのか、その先にある次なるニーズは?ちょっとだけ未来へ思考をむけていれば、自ずと道は拓けていくと信じて動いています。

「看視」について。
よく聞かれるので毎回書いていますが、僕は 「看る」「看視する」という表現をよくするのですが、監視ではなく、優しく注意深く、見守るようにして看てあげるという思いで、看るの字を使っています。

お店、会社、お客さんのことを優しく看ていれば気づきます。
あなたの大切な人の奥襟のほつれた糸を見つけてあげるように、注意深く看ていれば、きっと未来は大丈夫。

この記事を書いた人

酒匂雄二(さこっち)

株式会社ユウキノイン代表取締役。大阪府吹田市の生まれ育ち。大阪・関西を中心に中小企業、ECサイト(ネットショップ)のSEO、検索対策、WEB集客、SNS活用、コンテンツマーケティング、クラウドファンディング活用を支援しています。EC講座の講師やセミナー・イベント登壇もしています。
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