もくじ
CMを観れば、時代がわかる。
懇意にしていただいている芸能界で活躍されている方から、面白いお話を聞かせていただいたことがあります。
「地上波のCMを観れば、今、何が動いているかがわかる」
当時はようやくスマホが一般的になってきた頃で、
「音楽はCDのCMから配信に、据え置き機のゲームは携帯ゲームのCMに変わるだろう」
とおっしゃっていましたが、それは見事に現実になっていると感じます。
テレビCMはタレント業にとって重要な収入源になりますし、顔を売るためにはうってつけなわけで、特に追いかけているジャンルだと。テレビゲームのCMからソシャゲに切り替わり、新しく登場したフードデリバリーのCMにYouTuberが出演するといったことはわかりやすいですね。
過払い金請求のCMもいつの頃からか急激に見かけるようになりましたが、タバコのCMはテレビからは消え、YouTubeなどの動画広告では加熱式タバコを見かけるように。
そしてコロナ禍で盛況になったECのCM。楽天スーパーセールやPayPay超祭、アンジャッシュの児島さんのSTORESのCM、香取慎吾さんのBASEのCMなどはすっかりおなじみになっています。
経済不安になるとWEB参入の気運が高まる、が。
経済不安になるとWEB参入の気運が高まり、聞いたことのない謎のコンサル会社が不思議と増えます。Facebookの広告でも「1人で年商何億円!」という広告を個人名で出されているコンサルタントも増えますが、お名前で検索すると講演や登壇、メディアなどへの実態のある実績が出てきません。でも、0円でKindle出版していてAmazon1位を獲得していたりするんですよね。不思議。
あ、そもそも、お前は謎じゃないのか?有名なのか?と僕のことを言われれば、うーん、となりますし、何より無名であることには違いないので、そこは一先ずご容赦ください。
僕は大阪市の創業支援機関や全国の商工会議所などで経営相談員としても活動しています。
最初の緊急事態宣言が発出された2020年の4月~5月は多い月で15件以上の相談件数がありましたが、2021年の秋、コロナ禍の第5波を乗り切り終息するよな動きがあった2021年秋頃には相談件数がめっきり減り、月に2件程度ということもありました。
しかし、これまでの最大規模となる第6波がやってきた2022年1月以降また急増し、ロシアによるウクライナ侵攻前後ではスケジュールが合わずにお断りせざるを得ないほどになってきました。
感染拡大になり、まん延防止重点措置が適用されてくると、特に店舗型の事業をされている方からの相談で増えてくるのが
「自社のECサイトをつくりたい」
「BtoBからネットショップでBtoCに参入したい」
「新商品開発資金をクラウドファンディングで」
とった内容です。
どれもコロナ禍で増えたご相談でもありますし、身につまされる内容ばかりですが、一方で面談のお話を進めている中で「ん?」ということに出会うケースも増えてきました。
ECやクラウドファンディングをまるで錬金術のように吹聴している方々の存在です。
相談者の方々に、まるで自販機のように設置すればECは売れる、クラウドファンディングは資金が集まる夢の集金装置のようにお話されているのです。
ですが、そうした方のご経歴を調べてみると、ECやクラウドファンディングの実務に就いたことがない、あるいは昔の情報のままで今を見ていないであろうということ。
よくよく相談者の方にお話を伺うと、ECであれば2000年頃のお話、クラウドファンディングであれば2014年頃の黎明期の先行者利益のようなお話を今もしているということ。
事業者の方が、かつて知った情報がアップデートされていないことは、本業をこなす中では致し方ない部分もあると思うのですが、コンサルタントが20年前の情報のままコンサルティング業務を行うことは本当に危険だと思います。
事業者の方からすれば、恩師であったり、かつての窮地を救って下さった先生であったりすることも多く、そうした方の言う事は素直に聞き入れてしまうことは往々にしてあるでしょう。
中には悪意がなく、単にアップデートできていない方もいるでしょう。
ですが、知らないでは済まされないことは多く、著作権法や道路交通法だって令和になってからも改正されているように、WEBやECを取り巻く事情の朝令暮改などは日常茶飯事です。
少なくともコンサルティング業務上でECやクラウドファンディングを勧めるのであれば、最低限、現在進行系の情報は学んでおくべきだと思います。
事業者が留意することは、1人の意見を鵜呑みにせず、セカンドオピニオンで相談できる先を頼ることが大切ですね。
たとえば、大阪産創館のような創業相談施設には各ジャンルの専門家に相談内容を振り分ける仕組みがあるので、施設内ではあまりそういう事故を聞くことはありません。そうした行政機関や商工会議所など、創業・事業相談支援拠点を利用するのもひとつだと思います。
検索結果1位が確実に売上に直結するかは人による。
ある時の相談です。
「検索結果何百万件で1位をたくさん獲得しているというホームページ制作会社にお願いしようか迷っている」というものでした。
確かに何百万件で1位を獲得するというのはホームページを運営するにあたり、とてもインパクトがありますし、確実に1位を取れていると、それこそCMであるように「○○で検索」ができますし、名刺などにも書けるし、営業ツールとして役に立ってくれることは間違いないので嬉しいですよね。
ですが、それと「SEOに強い」は必ずしもイコールではないということを頭の片隅においておく必要があります。
先述の実際に相談のあったケースです。
「【ホームページ制作 SEO 地名】の検索結果400万件で1位だから、SEOに強い」という制作会社。事実1位でしたが、ツールによれば、この検索クエリの月間ボリュームは30件ほど。(上図)
つまり検索ニーズが小さな所の1位であり、そもそもそのキーワードに対して注力している競合が少ないから上位表示をできているだけであって、競合を押しのけて1位を獲得出来ているSEOに強いとは少し意味合いが異なるという認識も必要になってくるかと思います。
WEB担当者フォーラムの2021年11月の記事によると、検索結果1位のクリック率(CTR)は13.9%
上図の検索ボリュームを足すとGoogleで月間50、検索エンジンのシェアからYahooなど他の検索エンジンを足して100というところでしょうか。1位でクリック率14%とすると、このクエリからからサイトへのアクセス見込みは14件ということになってしまいます。
しかし、CPC(検索連動型広告)の入札額は非常に高価ですが、ここまでのキーワードで検索する方は困っているので一撃必殺で成約につながりやすいと言えるかもしれません。
上記の数字の話をすれば、2,100円の入札で検索1位の上に広告表示を獲得できる。クリック率は14%で約14回、それでサイト制作の案件を1つでも獲得できれば非常に費用対効果の高い広告と言えるでしょう。
ちなみに弊社で伴走しているBtoBサイトでの問い合わせの平均コンバージョン率は1~2%が多いので、14回の1%だと・・・なのですが。
※ツール上の数値と自社で持っているデータを元に算出しています。
ですので、ウン百万件で1位はSEOに強いのかもしれないが、売上につながるかは事業形態や事業規模次第と言えるかもしれません。ただ、そうしたニッチワードの1位の束を作ればECサイトでもバカにはなりませんし、名刺などに印字する際の営業ツールにはなり得るというお話でした。
「SEOに強い」は「消防署の方から来ました」に似ているかもしれない。
そもそも「SEO コンサル 大阪」で弊社ユウキノインは上位に出てきません。だからユウキノインはSEOに弱い!とご判断されるのも無理からぬことです。(なれるなら1位になってみたい)
強いか弱いかでいうと強くもないし、僕は常々「SEOは好きだけど、強くもないし詳しくはない」というスタイルでいます。
SEOは水物です。コアアルゴリズムアップデートでもないのに、急落、急浮上することだってありますし、昨日の1位が今日の1位というわけでもない不安定なものです。
そんな山の天気のように変わりやすいものなのに、
「10年前、完全にGoogleを解析することに成功している」というようなフレコミで営業をかけてこられたというご相談も時々寄せられます。
あなたは神か・・・いや、それが本当なら、むしろGoogleで開発に携わって下さいよ!
と言いたくなる神業です。
ですが、そんな事はありえないでしょう。
2022年2月3日にGoogleのブログで「How AI powers great search results」として、Googleが検索に用いているAIについて解説をしています。
「ランクブレイン」「ニューラルマッチング」「BERT」「MUM」
4つの主要なAIについて、役割や機能を解説していますが、ランクブレインは2015年実装、ニューラルマッチングがローカル検索にも実装されたのは2019年、意味と文脈を理解するためのモデルのBERTも2019年に実装され、このブログが公開された2022年2月時点でMUM(Multitask Unified Model)マルチタスク統合検索については「現在、MUMは、RankBrain、ニューラルマッチング、BERTシステムのように、検索結果のランク付けと品質の向上に使用されていません。」と明言されている未実装の機能です。
さらには2021年3月16日に発表された、現行のGoogle Analytics【UA】が廃止され、2023年7月1日に強制移行とも言うべき、新しいGoogle Analytics【GA4】ですら、3月31日には直帰率の復活、4月1日にはランディングページ(っぽい)の復活など日々仕様変更を繰り返し、今日時点でも検索にまつわる複数のβテストを繰り返しているのが確認できる状況です。
そんなGoogleを10年前に完全に解析して、現在進行系でSEOの上位表示を確約するなんてこと、僕は恐ろしくてできません。
もし、それを業務上で使用するのなら、前項のように検索結果が多く、検索ボリュームの少ないところでの1位を提示して、ほらね、とドヤるかもしれません(しません)
そんな1位の確約はご依頼者さんのためを想う施策ではないと思いますので、より良い流入施策を講じていくと思います。
自分自身がSEOに携わる者ですが、正直「SEO業者」は十把一絡げに悪いイメージを持たれていることも感じます。何社かエグい営業を仕掛けるという社名も耳に入りますし、古い知識で営業している業者もいますし、平日の日中忙しいECサイトへの営業電話攻撃も、かつて自分がECの店長をやっていて痛いほど身に滲みています。
「Google(の代理店?)です」「Googleの方からきましたー」という、かつての「消防署の方から来ましたー」と消火器を訪問販売していた悪徳業者のような存在も見聞きします。
Googleのカンファレンスでも、こうした悪徳SEO業者について強い言葉を用いて言及されることもしばしばありました。
その場でもこんな言葉がありました
「絶対と言うSEO業者は絶対に信じないで。僕たちでもわからないことがあるんだ」と。
Google社員によるオンラインフォーラムでも「それはわからない」「そういうことはないと認識している」という表現もよく出てきます。それぐらい日々進化と変化を続けているものなのに
「Googleを完全に解析した絶対のSEO」
なんてあるわけがありません。本当にあったら教えてください。
ということで「絶対に1位を獲得できる」にはウラがあることを知りつつ「絶対はない」ということを心がけているだけでも、お守りになるかもしれませんね。
SEO業者をワルモノ扱いしないで・・・。
SEOやコンサルティングというのは本当に風当たりの強い職種だなぁと感じることがあります。
コンサルティングの本来の意味は
「専門家の立場から相談にのったり指導したりすること。また、企画・立案を手伝うこと」
でとても良いものだと思うのですが、なんでもそうですが一部の悪事が事件になったりすることでのイメージもあるかと思います。
そうしたこともあり、弊社は「寄り添う伴走型のお手伝い」という表現を用いています。
なかなか、難しいですね。
ごく一部の「悪徳SEO業者」の迷惑電話についての苦言をSNSで見かけることがあります。
そうした投稿には「お前の会社がSEOできていないくせに、電話してくんな」的な表現があることが多いです。
僕自身は電話は苦手なので、営業はおろか、ちょっとした用事でも電話は使いませんが、
「お前の会社がSEO出来てない」にはぐうの音も出ません。
※弊社は決して電話営業はしませんのでご安心ください!
ですが、これについては本当にSEOを必要としている事業者さんこそ「うちのサイトのSEOしなくちゃ!」と必要性にかられ、能動的に動けることは少ないのではないかと思うのです。
そもそも、SEOという事柄をご存知でないケースもあります。実店舗であればGoogle Mapsの施策であるMEOも含めて。
そうした方々に「SEOというものがある」と知っていただくための営業アプローチによって、救われるかもしれないとは思います。だからと言って、成約のために先述のような、わかりにくい事象や数値を使い、甘い話をささやくような営業手法は断じて許されないとは思います。
きっと、SEO業者が営業するなとおっしゃる方々は、今、困っておられない方なのです。SEOができており指名検索が取れている、リピーターに恵まれ、既にお忙しいお店なのかもしれません。
それゆえ、忙しいタイミングにしつこく営業電話をかけられているから辟易しているのではないでしょうか?
ですが、それは卸売・小売・ECのお店とお客さんも同じ構図ではないかと思います。
欲しくないものを店頭で執拗に勧められるのは嫌ですもんね。
何万店舗がしのぎを削るECモールで、自社の商品をモール内検索の上位に表示させるのも非常に困難です。だからこそ広告で見つけてもらうことも有用だと思います。
「ECなのに、あなたの商品、ビックワードでモールの上位にでてきますか?」と
「SEO業者のくせにSEOできていない」は割と背中合わせなのではないかとも思います。
そうした迷惑な営業電話を受けた時、少し目線を変えて、ならばどういう提案なら話に耳を傾けただろうか?と考えてみると、ECサイトでお客さんに商品を手にしてもらえる機会創出にもつながるヒントがあるかもしれませんね。
一部、口コミの悪いSEO業者も実在するのも確かです。自分自身がEC時代に、トンデモナイ目にも遭わされました。だからこそ、という思いで今があると思いますし、僕の周囲には本当に事業者さんとお客さんの架け橋になるためのSEOに勤しんでいる方々も多いのです。
ですから「SEO業者」だけで僕たちのことを嫌いにならないでいただければ幸いです。