もくじ
グルメ界隈で後発・黒船の苦戦が続く。
2020年9月17日に日本上陸!と華々しくプレス発表も行った料理宅配の「foodpanda(フードパンダ)」が2022年1月31日でサービス終了、日本市場から撤退することになりました。
コロナ禍で飽和状態に突入している最中の参入でしたが、記者会見ではウーバーイーツを超えてみせるという、かなり強気のコメントを出していたのをニュースでみた記憶があります。
会見のコメントは、もしかすると煽りとも取られかねないと感じる内容でしたが、後発として強気のPRをしたのだとも思えます。
個人的にはパンダが大好きなので、このリュックが街中で観られたらいいなー、このリュック欲しいなーぐらいには思っていましたし、フードパンダには頑張ってほしいとも考えていましたが、上陸から1年半での撤退となりました。
この報を受け思い出したのはローカルビジネスレビューサイトYelpの日本撤退劇。
Yelpは2014年4月9日に日本でのサービスを開始、アジアではシンガポールに続き2番目ということもあり、当時はビジネス系ニュースでも「食べログ・ぐるなびの黒船」などと報じられ、飲食店に限らないレビュー機能で一時の勢いもよく覚えています。
2016年11月頃に「アメリカ・カナダ以外から撤退」と発表、結果的にYelpも日本からは2年半あまりで撤退となり、コロナ禍の2020年4月には「従業員1000人解雇 1100人超を一時帰休に」と報じられました。
後発は常にそうなのですが、特にグルメ関連サービスでの後発の難しさを痛感する事例が続いています。
フードパンダの撤退により、日本におけるフードデリバリー業界はソフトバンク系のウーバーイーツ、出前館、DiDiフード、国内スタートアップのMENU、チョンピーという勢力図になりましたが、ソフトバンク系の3強がいささか強力な気がします。
ここに新興勢力がどう食い込んで行くのか見てみたい気もします。
チェリーピッカー・バーゲンハンターの奪い合いからの脱却。
EC系のセミナーで頻繁にお話することですが、お客さんに「楽天で買った」「amazonで買った」と言われている時点で、お店は店名を印象づけることすらできていないことになるというようなお話をします。
特にamazonでは、カートの奪い合いが熾烈を極め、出品者にまで目を配っている購入者はほとんどいないでしょう。
モールの検索から商品を探し、価格やポイント順でソートして購入されていることの多いモールでも、力を入れてデザインした店舗トップページが見られていないことはほとんどのお店でアクセスデータを見れば明らかです。
ECモール各社は、特定の日付、アプリ、連携サービス、セール、キャンペーンによるポイントアップなどでの「囲い込み」を行うわけですが、その囲い込みの網目や柵は機能しているかというと疑問ですし、お客さんを囲い込むなんてそもそも不可能ではないか、と考えています。
チェリーピッカー・バーゲンハンターと呼ばれる、割引されたお得な商品だけを購入していく顧客が回遊する市場では「美味しそうなさくらんぼだけを摘む人」のためにさくらんぼを用意し続けるのが難しい中小企業はやはり苦戦を強いられます。
言うは易し行うは難しの典型ですが、自分自身がフードデリバリーのユーザーとして、
「あ、そういえばウーバーのクーポンハガキが入ってたなぁ」→ウーバーイーツ
「出前館のクーポン配布中って見たなぁ」→出前館
といった感じで使い分けていますし、隔月ぐらいで買い足す生活必需品がいくつかありますが、
過去1年の購入履歴を見てみると、各商品6~7回の購入回数のうち、同じ店舗で買ったことがあるのは2度ほどでした。
知人の美容室に聞いてもクーポンサイトで予約してくださる方をリピーターにする為の施策に苦慮している様子は強く感じます。
同じジャンルのアプリを入れてもらうハードルの高さは想像以上で、結局インストール時の特典、その後の特典や連携サービスの多さが決め手になると感じます。ショッピングだけではなく、グルメ、フリマ、ニュース、どのアプリを見てもそうではないでしょうか。
「インストールしたら○円プレゼント」といったわかりやすい打ち出しのほうがアクティブユーザー獲得までが安いということが示すように、やはり「さくらんぼの数」がモノを言うということは明らかのような気がします。
事実、ウーバーイーツでは下図のようなクーポンハガキが毎月のようにポストに投函されていて、これが入っていたらウーバーイーツで頼んでみよう、という方も多いのではないでしょうか?
自分自身が小規模ECに従事していた経験からも、こうしたさくらんぼの取り合いから脱却していくこと(意識すること)が本当に大切だと思います。
「また、ここで」を意識しているお店は意外に少ない。
2021年12月末、慌ててふるさと納税を複数の自治体に行いました。年明けからポツポツと寄付金受領証明書が届きましたが、いつもなら開封してまとめてクリアファイルに直行という感じですが、今年1通の受領書だけはじっくり読み込みました。
一通だけ、ひときわ目を引くものがありました。それが北海道紋別市の受領書です。
裏面にびっしり埋め尽くされた地元の小学生による手作りのPRです。
寄付者のみんなに紋別の「すごい!」を伝えるため
紋別小学校3年生のおともだちのみんながかいてくれたもん
※不定期で更新するので次回は違うデザインかも!お楽しみに!
子どもたちが一所懸命に写真や絵を交えて地元の魅力を伝えてくれる様子に、思わずほくそ笑みます。しかも、不定期更新と言われると他のも読んでみたい気持ちに駆られますし、子どもたちの一生懸命さにほだされ、訪ねてみたくなるような気持ちにさせられました。
さらにはふるさと納税の返礼品をInstagramに投稿すると抽選で地元のグルメが当たるSNSキャンペーンも重ねがけしてしています。SNSの投稿キャンペーンはよくあることですが、これも地元ととの関係人口を増やすための最初は非常に小さくても、やがて大きくなる一手ではないでしょうか?
上と下、どちらの寄付金受領証明書が印象に残るかは一目瞭然かと思います。
いずれの市からも同じ折仕様、印刷クオリティの封筒で来ましたので事務代行自体はどこかの代理店なのでしょう。
ですが、その封筒ですら、地図、交通アクセス、観光名所の有無でも印象は違ってきますよね。
ふるさと納税もほとんどの方が返礼品、内容、レビュー、値段などで選んでいると思います。
僕もそうですから、このケースにおいては自分自身もチェリーピッカーなのでしょう。
そうした「さくらんぼの取り合い」は時に誰も幸せにしない事を引き起こします。
記憶に新しい所では、2022年1月18日でふるさと納税の指定取り消し処分となった宮崎県都農町の事例です。
昨年度、都農町へのふるさと納税の寄付額は、82億円余りで、全国5位を集めていましたが、その裏で大量の受注に対応できなくなったため、町が別の業者に依頼して商品を調達。
その際、追加経費が発生したため「返礼品は寄付額の3割以下」とする総務省の規定を大幅に上回る6割~8割の経費をかけて、およそ18,000件ほどの発送をしていたことが判明しました。
都農町取り消し期間は2年とみられ、昨年の実績から算出すると約160億円を棒に振ります。規定を超えていた分を差し引いても120億円近くにのぼると思われます。
そうしたこともないよう、なおさらですが、その1回をどのように今後に変えていくかが大切ですよね。
ふるさと納税であれば上記の通り寄付金受領証明書であるように、ECサイトでは納品書、同梱物は確実にお客さんの元に届きますし、自動返信メールだけではなく、受注メール、出荷メール、そして届いた後しばらくしてのお伺いメール、フォローメールが重要ですね。
コロナ禍の2020年、巣ごもり特需、お取り寄せ需要といった追い風はECサイトに確かにありました。しかし、弊社がお手伝いしている多くのお店では2021年の方が売上を伸ばしており、そのお店ではフォローメール、ニュースレター(特にセール告知ではないもの)、同梱物に力を入れていました。
2020年以降で強く意識したのは「はじめまして」「あらためまして」「そういえば」
あるいは、サザエさんのお家に「ちわーっす、三河屋でーす」とやってくる、酒屋のサブちゃんのような御用聞きのイメージです。
このことは昨年連載していたカラーミーショップの連載コラム「よむよむカラーミー」でもご紹介しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
すきなものは、すき」あなたと共に歩むお店でありたい。
コロナウイルスは人と人、人とWEBの変化を加速させた。
時にメディアでは「人を分断した」という強めの表現をすることがありますが、分断というよりは変化したのだと思います。
2020年以降、コロナ禍であっても、新型コロナが直撃したブライダルや観光関連でもWEB、ECサイトを活用し、コロナ以前よりも売上を伸ばしたお手伝い先さんがあるのも事実。
そうした企業やお店が何をしていたかは実にシンプルで、
「すきなものは、すき」あなたと共に歩むお店でありたい
このことを何度も何度も繰り返し、想い行動してきたのみだと感じます。
僕自身もそうでしたが、かつては
【お客さんに購入していただくこと】
をゴール設定にしていたと思い返します。
ですが、そこから
【お客さん→ファン≒友人に近い関係→友達の幸せを願うこと】
にシフトしていったことが売上増加につながったのではないか?と感じます。
文字にすると少し怪しげと思われるかもしれませんが、
「お客さんのよかったという体験に寄り添うこと」
に注力してきた。ですね。
「美味しかった」「可愛かった」「ぴったりだった」「喜んでもらえた」
そうした気持ちに寄り添うために「売ること」ともすれば「売りつけること」のもう少し先にあるものを描いてお店の運営に当たっておられたたと感じます。
冒頭のように類似サービス、アプリがどんどん増えても、僕たち人の時間が増えるわけではありません。
まずはお店に来ていただく「時間をわけてもらう」ことからすでに競争は始まっていて、そこを「安い!ポイント!」だけで焦って発信しても、小さな所はどんどん削られ消耗していくだけではないでしょうか。
同じようなセール情報ばかりでお客さんも辟易しますよね。
お客さん≒友達と考えるならば、連絡くれるたびに「おごって!おごって!」という友達と良好な関係性が築けるでしょうか。
それを冗談や挨拶程度に昇華できる関係性があれば別ですが、多くの場合そこまでお客さんとの関係を構築していることは難しいのではないかと思います。
お客さんに注文ばかり、文句ばかり言うような名物店長、頑固親父の店がありますが、そうしたお店は、確実にその人と深くつながるファンに支えられているはずですね。
あなたとともに歩んでいきたい。ちょっと肩の力をぬいてみてください。
実は選んでもらうためのことは難しくなく、日頃からあなたの身の回りにあふれていることかもしれません。
優しいデジタルへ。
お客様さん、なぜそれが必要になるのか?そして今、何に困っているのか?
悩み事を考え、解決して差し上げてください。
これまでに似たシチュエーションはありましたか?
その時はどう解決されましたか?
その時、お客さんはどんな事に喜んでいただけたでしょう?
そうしたことをお客さんに教えてあげて、お客さんに楽しく目的完了してもらうことを目指していきませんか。 そして来てほしい場所へ。
それが皆さんのお店、会社、ECサイトに来訪していただく、選んで頂くための一歩になるかもしれませんね。