2023年、あけましておめでとうございます。
今年の僕の運勢は20年に一度ぐらいのドン底らしいので、穏やかに健やかにを心がけ、
波風立てない湾内の凪で過ごそうと思っています。
今年も株式会社ユウキノインをよろしくお願いします。
Googleのアップデートラッシュ
2022年の11月後半からアクセス解析を見ることのできるサイトの多くでクロールリクエストの大きな変動は確認できた中、これは12月にコアアップデートが来るかも?と備えていました。
クロールリクエストが急激に増えたからと言って大規模なアップデートが行われるわけではないのですが、前年の2021年は11月18日にコアアルゴリズムアップデートがありましたので、タイミング的にはそういったことがあってもおかしくないとは思っていました。
しかし、やって来たのは、コアアルゴリズムアップデートではなく、ヘルプフルコンテンツアップデートのグローバル展開でした。
ヘルプフルコンテンツアップデートとは、その名の通りお役立ち情報が掲載されているサイトを評価するというようなニュアンスで、逆にGoogleファーストでSEOで上位表示する為に作られた中身がないコンテンツは評価しないというもの。
ユーザーにとって有益な情報を掲載した、役に立つコンテンツが重要になるということになります。
12月7日にリリース開始がアナウンスされ、リリース直後のツイートではその他のアップデート同様2週間程度で展開完了とありましたが、年始になり、まだ展開完了されていないことがアナウンスされました。
展開が遅れたというよりは、年末年始休暇を挟んだことで一時停止されていたのではないかという話も取り沙汰されています。
12月16日これまでのE-A-Tに経験のEが加わりE-E-A-Tに
つづけて12月15日、リンクスパムアップデートのリリースがアナウンスされ、翌16日は、これまでの検索品質評価ガイドラインで使われていたE-A-T(専門性、権威性、信頼性)にもう1つE(経験)が加わり、E-E-A-Tとなったことがアナウンスされました。
12月15日に更新された検索品質評価ガイドライン全176P中、E-E-A-Tが126回、これまでのE-A-Tと対をなしていたYMYLが120回登場しており、その重要性は伺えます。
E-A-T とYMYL (Your Money, Your Life=お金に関すること、健康に関すること)は、SEOの指標として単独で計測するアルゴリズムが存在するわけではありません。
「評価ガイドラインに基づいて検索品質を評価する際に、
アルゴリズムが求めるものをわかりやすく概念化したもの」
と言われています。
E-E-A-Tの正式表記は下記の通りとなりそれぞれの頭文字を取ったものになります。
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
Experience(経験)
ただ、これは検索のアルゴリズムが変わったわけではなく品質評価ガイドラインの話で、
あくまで「概念」なので因果・直接的ではないのですが、相関関係と間接的には影響があるかもしれません。
図形の下には下記のように記されています。
経験、専門知識、権威、信頼(E-E-A-T)は、すべてページ評価における重要な考慮事項です。E-E-A-Tの中心に位置する最も重要なものが「信頼」です。
Trust : ページが正確であるか、誠実であるか、安全であるか、信頼できるかという程度を考慮します。必要な「信頼」の種類と量は、たとえばページによって異なります。
オンラインショップでは、安全なオンライン決済システムと信頼できるカスタマーサービスが必要です。商品のレビューは、正直で、(商品を売るためだけでなく)他の人が十分な情報を得た上で購入の判断をするのに役立つように書かれている必要があります。
YMYLの明確なトピックに関する情報ページは、人々や社会への危害を防ぐために正確でなければなりません。
YMYL以外のトピックに関するソーシャルメディアへの投稿は、投稿の目的が視聴者を楽しませることであり、投稿の内容が危害を与える危険性がない場合など、高いレベルの信頼性を必要としない場合があります。
E-A-T では3つは並列関係でしたが、E-E-A-Tになった評価ガイドラインではTrustworthiness(信頼性)からTrust(信頼)という感じになっていて、専門性、権威性、経験の上に信頼が成り立つという構図になり、最も重要な要素のように位置づけられました。
なぜ、このタイミングでヘルプフルコンテンツアップデート、リンクスパムアップデート、E-E-A-Tへの変更が矢継ぎ早に発表されたのでしょうか?
そこには既に巷で話題になっている、ChatGPTに代表されるAIチャットツールの台頭があるのではないかと考えています。
2023年1月11日にはMicrosoftが人気チャットボット「ChatGPT」の開発元であるOpenAIに100億ドルを出資する交渉を進めていることが報じられましたが、そうなるとその先はMicrosoftの検索エンジンBingへの実装も?という話にも当然なりますので、Googleの警戒も尋常ではないと思います。
ChatGPTはSEOに革命を起こすのか?
AIお絵かきツールやチャットツールなど、SNSでも度々話題になっていますが、AIチャットツールはコンテンツマーケティングやSEOにも劇的な変化をもたらすのではないかと言われています。
ChatGPTを実際に使ってみると、画面の中に小さいおっさんがいるのではないかと思うほどに的確に返答をしてくれるものもあります。
特に「HTMLのソースコードを書いて」や「構造化データのコードを書いて」というようなリクエストには相当のレベルで回答してくれることには驚かされていますので、そういった分野からの実務レベルへの導入が進み、一部業務の効率化はいち早く進むのではないかと思います。
メジャーな食品の美味しい食べ方などは、そのままコンテンツにできるのではないかと思うレベルで書き出してくれます。ですが、ニッチな食品では、「いやそれは煮たり焼いたりしないよw」みたいなポンコツな回答もまだまあります。
弊社のお手伝い先には医療薬品関連の企業さんもありますが、さすがにそのレベルのコンテンツではYMYL領域どころか、薬機法に触れてしまうような表現、人命に関わるとんでもない文面を生成することも多数ありましたので、エビデンスが求められる領域では実用レベルに達するには時間がかかりそうです。
もちろん、それも次第にアップデートされていくのは間違いありません。
年末に開催されたGoogleのカンファレンスでもAIコンテンツに関するQ&Aが行われており、検索順位操作を目的としたものはポリシー違反になるが、スポーツの試合結果など定型のものであれば問題はないというような回答がありました。
ただ、AIはそれが真実かどうかのチェックまでは行わないので、最終的には人がチェックして校正・添削は必要だという話になっていました。
ここでGoogleがE-E-A-Tに経験を組み込んできたことの意味があるのではないかと考えています。
経験の有無が重要になる?!
AIのコンテンツ能力が上がってもいくつかの課題が出てきます。
ひとつはツールの氾濫。
ChatGPTは有料化が検討されているというニュースもありますが、それほど高額になることもないのではないかと思われますし、後発で無料で使えるツールが普及すると、一定レベルのコンテンツがコピペ状態で量産されることになり、良くも悪くもどんぐりの背比べ状態のSEOになることも想定されます。
当然、選ぶユーザー側も似たような表現のページが増えていくことを早晩、気づいていくでしょう。
そこで差別化を図る上で重要になるのが、 Experience(経験) ではないでしょうか。
やがてはAIが接客し、そのデータを元に経験を積むことができるようになるかもしれませんが、まだまだそうなるには時間もかかるのではないでしょうか。
リアルなユーザーの体験やそこで出てくる感情、言動、表現はやはりAIは後追いになるだろうと思います。
たとえば、新たに生み出される若者言葉などはその端的な例かもしれません。
「バズる」「エモい」「映える」「ゆるふわ」「推せる」「しんどい(褒め言葉としての)」「~しか勝たん」「知らんけど」などの言葉をAIが生み出してブームのようにする未来も、もしかしたらあるのかもしれませんが、こうった言葉はやはり人間、その言語圏や世代の人たちが経験した上ならではのものではないかと思います。
そこに共感・共鳴が生まれ、購買消費行動は刺激されているのではないでしょうか?
そうなると、いっそう消費者は「信頼ができる役立つコンテンツ」に価値を求めるようになるのかもしれません。
まさにヘルプフルコンテンツとE-E-A-Tに繋がる話なのかもしれません。
AIを使いつつも、そこを補えるようにしておくことは大切ですね。
•問題認識:お客さんのニーズを見つけて理解し、それに対処する解決策を提案する。
•解決策を意識:お客さんの感情(悩み、困りごと、不安、迷い、信憑性、緊急性など)を理解する。客観的で詳細な価値ある選択肢の提案する。
•ブランド認知度: 信頼できるお店、ブランドとしてのコンテンツの質を向上させ、覚えてもらうように努める。
•製品認識: 自社の製品・サービスを、読者の問題に対する理想的な解決策として位置付けられるような知識や情報を提供(自身や他のユーザーの経験に基づいていれば尚良しではないでしょうか?
お客さんが、まだ考えていなかった新しい解決策を紹介し、自社のブランドを、オリジナリティのある新しいものとしてアピールできる情報を作っていくことの重要度が増してくるのではないかと考えています。
コンバージョンを追いかけすぎず、お客さん・ファンから「情報提供元としての信頼」を得ることが第一で、サイト情報を求めてきた来訪者もお客さんとして接してもらえていると感じられるような優しいサイトづくりを目指すことを掲げていきたいところです。
繰り返しになりますが、まだ現時点ではAI自身が経験(今回追加されたE)に基づくコンテンツを生成することは難しいので、お客さんの「このお店とつながっていたい」から「買いたい」へ伴走していけるような、そうしてくれると思ってもらえるお店づくりに注力していくべきだと思います。
まずは先行投資になりますが、既存顧客、潜在顧客問わず、有益だと思ってもらえるコンテンツ(専門性・権威性E-A)で価値提供し、興味を持ってもらい、このお店・会社と繋がりたいと思ってくれる信頼性(T)を構築していくことを意識する。
そして、量産型のGoogleファーストのSEOではなく、お客さんにとって価値のあるもの、動画などの手法による経験談(使ってみた・やってみた系)を交え信頼を積み重ねていくことが、2023年以降の本質的なサイトの最適化で、SEOの方向性ではないかと考えています。
2023年、AIコンテンツは電子商取引に夢を見せるか?というかということについては、まだまだ夢は夢のままではないかと思いつつ、共に歩みながら、より良い使い方を模索していく感じなのかもしれません。
これからの皆さんにサチアレ!